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■Disc.1 落語名作選集 三代目 三遊亭圓歌
『西行』
和歌で有名な西行法師。若き日は北面の武士として佐藤兵衛尉(ひょうえのじょう)憲清(のりきよ)と名乗っていた。絶世の美女と評判だった染殿の内侍(ないし)との逢瀬がかなう。ところが兵衛尉憲清の思いもむなしく袖にされてしまう。それがきっかけで仏門に入り西行となる。落語の「西行」はいわゆる“地噺(じばなし)”。地の文(ナレーション)やほかの芸が自由に入ってきて話を盛り上げる。
(日本の話芸/1997年放送)
『中澤家の人々』
中澤家(圓歌宅)には現在、何人もの高齢者親族がひしめいているという。そのじいさん、ばあさんの生態を虚実とりまぜ、痛烈な笑いをまぶしながら描いてゆく。きわどいギャグ、ブラック・ユーモア、危ない笑いがとびかうけれど、それらを混然と巻きこむ笑いの大説法が圓歌ワールドである。
(日本の話芸/2002年放送)
【プロフィール】
1929年、東京生まれ。
1945年、新大久保駅員を経て、二代目三遊亭圓歌に入門し、歌治。
1948年、歌奴で二ツ目。
1958年、真打に昇進。
1970年、三代目三遊亭圓歌を襲名。
1996年、(社)落語協会会長に就任。
監修:能條三郎(演劇評論家)/解説:大野桂(演芸作家)/写真:横井洋司
*音声:モノラル
■Disc.2 落語名作選集 五代目 春風亭柳昇
『結婚式風景』
結婚式の漫談風爆笑ルポルタージュ。披露宴の祝辞の長さを痛烈に皮肉り、つづいて引出物の話、さらに夫婦の相性、血液型など、話題は自分の家族に脱線。ふたたび本題に戻り、媒酌人のあいさつが始まるが、珍妙極まる新郎新婦の経歴紹介がくり広げられる。
(1992年5月5日放送)
『里帰り』
一人娘を嫁にやった父親の家へ、ある日その娘が帰ってくる。『夫はいい人なのだが、姑が口うるさく、意地悪で、これ以上辛抱できない』という。父親はしきりに帰るよう説得するが、娘は『どうしても帰れというなら姑を殺す』という始末。すると父親は『ある秘薬と秘策』をこっそりと娘に授けて―――。
(1995年4月18日放送)
【プロフィール】
1920年、東京都生まれ。
1946年、六代目春風亭柳橋に入門し、柳之助。
1949年、二ツ目となって五代目春風亭柳昇を名乗る。
1958年、真打に昇進。
新作落語を主とし、作家としても“林鳴平”の名で多くの新作落語を残した。「春風亭柳昇といえばわが国では私一人・・・」というお馴染みのフレーズと明るくほのぼのとした芸風で多くのファンから愛された。
■Disc.3 落語名作選集 十代目 桂 文治
『蛙(かわず)茶番』
町内の茶番(素人芝居)で「天竺徳兵衛」を出すことになったが、建具屋の半次は役がつかず、舞台番にまわされて、出る気がしない。そこで番頭が半次をうまくおだて、やる気を起こさせる。気をよくして湯屋へ行ったのはいいが、半次は帰りに自慢の緋ぢりめんの褌を締め忘れてしまう。かくて、舞台の幕が開き・・・。
(1990年9月11日放送)
『掛取り』
大晦日、掛取り(借金取り)を撃退するために、八五郎は相手の好きなものに心を向けさせる作戦に出る。狂歌の好きな大家には狂歌で、芝居好きの酒屋の番頭には歌舞伎仕立て、そしてけんか好きの魚屋には・・・。
(1990年9月11日放送)
【プロフィール】
1924年、東京都生まれ。
1946年、桂小文治に入門し、柳家小よし。その後、桂小よしに改名。
1948年、伸治で二ツ目。
1958年、真打に昇進。
1979年、十代目桂文治を襲名。
父は柳家蝠丸。趣味の南画、書も超一流として有名。江戸言葉にこだわり、日常生活も和服で通すなど“噺家らしい噺家”として落語ファンに親まれてきた。
■Disc.4 落語名作選集 九代目 入船亭扇橋
『へっつい幽霊』
幽霊の出るへっついを持てあました道具屋、金をつけて引取り手を探していると、渡世人の熊五郎と若旦那(銀ちゃん)の二人が名乗り出る。二人がへっついを運ぶ途中、へっついの角をうっかり欠いてしまうと、中から三百金の包みが転がり出した。
(2002年9月7日放送)
『三井の大黒』
京から江戸へ出てきた名工、左甚五郎、名前を明かさず棟梁政五郎の厄介になる。大工たちは薄のろにみえる甚五郎を新米と思い、「ポン州」と名づけ、ハンパ仕事などをやらせていたが、甚五郎は三井家から頼まれていた大黒のことを思い出し、彫り上げる。やがて甚五郎の正体がわかり…。
(1993年3月12日放送)
【プロフィール】
1931年、東京都生まれ
1957年に三代目桂三木助に入門し、木久八。三木助没後、五代目柳家小さん門下に移り、さん八と改名して二ツ目。
1970年に真打に昇進し九代目入船亭扇橋を襲名。
“光石”の俳号を持つ俳人でもあり「東京やなぎ句会」の宗匠。真面目な中にも自然体でいて、とぼけた飄逸味のある芸風が持ち味。芸術祭優秀賞、芸術選奨文部大臣新人賞などの受賞がある。
■Disc.5 落語名作選集 八代目 橘家圓蔵
『死神』~『火焔太鼓』(リレー落語)
普通のリレー落語は、長篇の噺を二人以上の演者が交代してリレーしてゆくもの。
今回の圓蔵版「リレー落語」の演者はただ一人、つまり無関係な二席の噺を圓蔵一人でつなげて語ってゆく趣向。
「死神」と「火焔太鼓」をどうつなげるか、そのマジックはご覧になってのお楽しみ。
『死神』
金がなくて女房に家を追い出された男、思い余って首を吊ろうとすると、死神が現れ、行者(拝み屋)になれと勧める。
『火焔太鼓』
商売下手な甚兵衛が古道具市で安く仕入れた汚い太鼓が、ひょんなことからお殿様お買い上げとなり、大金が舞い込む。
(1990年4月19日放送)
【プロフィール】
1934年、東京都生まれ。
1953年、四代目月の家圓鏡(後に七代目橘家圓蔵)に入門し、竹蔵。桂文楽の内弟子をつとめる。
1955年、升蔵で二ツ目、
1965年、真打に昇進し、五代目月の家圓鏡を襲名。
1982年、八代目橘家圓蔵を襲名。
四天王の一人として圓鏡の時代からテレビ、CM等で活躍、爆笑を誘う芸風でお茶の間の人気者となった。
■Disc.6 落語名作選集 桂 歌丸
『厩火事』
髪結いのお崎、夫婦げんかの果て、亭主の本心が知りたいと仲人の所へ相談に来る。仲人は二つの例――中国の賢人・孔子に伝わる『厩火事の故事』と『瀬戸物好きのとある旦那』の話――を引き合いに出して、亭主の本心を試してみろと知恵をつける。果して、その結果は?
(2000年6月23日放送)
『お見立て』
栃木のお大尽の杢兵衛(もくべえ)は花魁(おいらん)の喜瀬川を目当てに吉原へやってくる。ところが杢兵衛が嫌いな喜瀬川は若い衆の喜助に、病気だと偽って断らせる。ところが杢兵衛は『病気ならば見舞ってやりてぇ』と言ってまったく退かない。やむなく喜瀬川は『死んだ、と伝えろ』と喜助に命ずる。そして事態はさらに意外な局面へと進む―――。
(2003年8月2日放送)
【プロフィール】
1936年、神奈川県生まれ。
1952年、古今亭今輔に入門し、今児。
1954年、二ツ目。
1961年、桂米丸門下に移り桂米坊、その後、歌丸へと改名。
1968年、真打に昇進。
テレビ番組『笑点』のレギュラーとして長年にわたって活躍する一方で、高座では古典落語への取り組みを精力的に続けている。
現・(社) 落語芸術協会会長。
■Disc.7 落語名作選集 五代目 三遊亭圓楽
『悋気(りんき)の火の玉』
花川戸の鼻緒問屋立花屋の主人、根岸にお妾を囲ったところ、本妻と妾が、たがいに相手を祈り殺そうと、藁の人形に五寸釘、呪い合戦が始まった。五寸釘が、六寸、七寸とどんどん長くなって、女の戦いはエスカレート。ついに本妻、妾、相討ちで亡くなったが、魂魄残って二つの火の玉となり・・・。
(1989年10月20日放送)
『長命』
ご隠居の所へ植木屋の八五郎が悔みの言い方を教えてくれとやってくる。わけを聞くと、お出入りの伊勢屋の婿さんがたて続けに三人も死んだという。ご隠居は三人の「短命」の原因をナゾ解きするが、八五郎にはなかなか通じない。やっと納得した八五郎、わが家へ帰り、衝撃的な事実に直面する―――。
(1981年10月10日放送)
【プロフィール】
1933年、東京都生まれ。
1955年、三遊亭圓生に入門し、全生。
1958年、二ツ目に昇進。
1962年、真打に昇進し五代目三遊亭圓楽を襲名。
1978年、師匠と共に落語協会を脱退し「落語三遊協会」を設立。
1979年、師匠の死去により「大日本すみれ会」を結成。
1985年、同会は「楽党」に。